オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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新型コロナウイルスが流行した2020年以降、国税当局は接触機会を減らしながらも税務調査を進めようと、さまざまな取り組みを行った。その一つが「臨場リモート調査」と呼ばれるもので、これは税務職員が調査対象先を訪れたうえで、会議室などの場所とノートPCを使ってオンラインで面談するというやり方だ。
確かにこの手法では対面機会を減らせるものの、納税者にとっては、応対するスタッフを必ず現地に置かなければならない点で通常の調査と変わりがない。さらに貸し出す場所や機材を用意するという新たな負担も生じていた。
また当局にとっても現地に臨場しなければならない点で実地調査と変わらず、納税者側が用意したシステムを利用するのはセキュリティー面に不安もあっただろう。リモート調査とはいうものの、双方にとってリモートの長所を生かしているとはいえない部分が多かった。
そこで国税庁は2022年10月、新たなリモート調査の取り組みをスタートさせた。それまでの臨場リモート調査との最も大きな違いは、すべて当局が用意したシステムを利用して調査が進められ、オンラインで完結する点だ。ウェブ会議システム「Webex(ウェベックス)」を利用し、納税者側が当局から教えられたURL、パスワードを使ってログイン、聞き取り調査に対応する。調査資料のやり取りもすべてオンライン上で行われ、当局が指定したオンラインストレージサービスに帳簿などの調査資料をデータのままアップロードするかたちだ。調査に立ち会う税理士についても、事務所などからオンラインで参加できるようになる・・・(この先は紙面で…)