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▼今週の注目記事  納税3766号1面より

当局vs保険業界
いたちごっこが終わる時

 金融庁の節税保険規制に向けた動きが止まらない。2月にはエヌエヌ生命に行政処分、3月には明治安田生命に立入検査と、生保各社に対する締め付けを厳しくするとともに、今後の商品開発においては国税庁とタッグを組んで節税保険を生み出せないようにするなど、過去にない本気度を示している。ただそうした状況のなかで見直されているのが、生命保険の持つ本来の役割だ。もしもの備えとして、自社の財務強化の手段として、生命保険が経営者にとって大きく役立つツールであることは今後も変わらないだろう。2回にわたり、生保を巡る現状と今後を探る。

生保2社に行政処分・立入検査

 今年2月、過度な節税が問題視されていた「節税保険」を巡り、金融庁はオランダに本拠を置く外資系生命保険会社のエヌエヌ生命保険に対して保険業法に基づく業務改善命令を下した。処分理由については、@経営管理態勢・業務運営態勢の不備、A保険本来の趣旨を逸脱した商品開発および保険募集――を挙げ、@では営業優先の企業文化・風土が不適切な商品開発・保険募集推進を招いたとした。またAでは、金融庁から保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を防止するための各種指針が示されているにもかかわらず、同社が経営陣の関与の下、組織的に本件節税保険を開発・販売を決定したと指摘した。

 さらに3月に入ると、金融庁は生命保険大手の明治安田生命に対する立入検査を実施した。昨年発覚した職員による保険料着服などの事案を受け、同社の管理体制を調べることが主目的とはしているものの、過度な節税効果をうたった販売実態の調査こそが本丸≠ニのもっぱらの噂だ。

 両社に対する処分・調査では、どちらもターゲットとされたのは定期保険の一種である「名義変更プラン」と呼ばれるものだ。多額の死亡保険金を受け取れる契約を当初は法人名義で締結して高額な保険料を支払った後に、名義を経営者個人に変更し譲渡した上で解約し、支払った保険料の多くを返戻金として個人が受け取る仕組みで、返戻金は「一時所得」として扱われるため、通常の役員賞与などの所得と比べて税負担を抑えられる。

 国税庁は一昨年6月、名義変更プランを規制する通達を発遣したが、その後も一部の生保会社では節税効果を強調した販売が続いていることから、さらに追及を強めている。昨年には生命保険4社に対して立入検査を実施、報告徴求命令を出すに至り、そのうちの1社であるマニュライフ生命では経営陣をはじめとして組織的に販売を展開していることが悪質であるとして、7月には節税保険を巡っては初めて業務改善を命じる行政処分が下された。今年2月のエヌエヌ生命がその2例目というわけだ・・・

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