オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。専門記者による国税関連機関、税理士等への密着取材で培われた報道内容は、一般紙や経済・ビジネス雑誌では決して読むことはできません。

▼今週の注目記事  納税3749号1面より

審査の長期化に対応
スムーズな消費税還付

 消費税の不正還付を取り締まるため、国税当局が審査体制の抜本的な強化を推し進めている。不正の取り締まりは一般的に歓迎されるが、企業にとっては審査のために還付までの期間が長引くことで、資金繰りに重大な影響が及びかねない。消費税法上の特例制度や当局による還付手続きの指針をもとに、スムーズに還付金を取り戻す方法を探った。

申告で活用できる3つの手法

 国税当局は消費税の還付申告に対する審査・調査体制の強化を急ピッチで進めている。かつて各税務署の担当部署に一任していた申告書の審査は、各国税局で集約処理を行う「内部事務センター」へ一部移管して効率化を図っている。また不正還付事案の調査に特化した「消費税専門官」のポストを昨事務年度から全国11税務署に設置し、今年7月には東京や大阪など5つの国税局にも配置するなど担当調査人員を拡充した。そして今年10月1日には、従来の調査・審理・徴収の縦割り制度を排除して不正還付の調査にあたる「消費税不正還付対策本部」を東京国税局内に設置した。局内で調査をリードする消費税担当の「統括国税実査官」を筆頭に約130人が所属するという。

 一連の取り組みの背景には、消費税率の引き上げや取引のグローバル化により急速に増えている還付申告件数(表)に対する国税当局の警戒感がある。阪田渉国税庁長官は8月に行われた国税記者クラブの共同インタビューで、「還付申告件数の増加とともに、不正な還付請求が目立ってきている」と指摘したうえで、「納税者の公平を保つため徹底的に取り締まっている」と力を込めた。

 不正還付の取り締まり強化は、企業にとって還付を受け取れるまでの期間が長引くことを意味する。国税通則法上の「還付金は遅滞なく還付しなければならない」という原則の特例として、消費税については不正申告を防ぐための審査や調査を実施する間、還付を保留することが通達や判例で認められているためだ。すでに国税当局による近年の審査強化により還付金の保留期間は長引くようになっており、神奈川県の税理士事務所の所長によると、「証拠書類の提出や取引実態の証明を事細かに要求されて、実際に還付金を受け取れるまでに1年近くかかったケースがあった」という。

 そして、還付の遅れは中小企業の資金繰りを直撃する。都内の卸売業者は、「以前は申告から3カ月以内には還付金が振り込まれていたが、今年は4カ月経っても音沙汰がない」と話す。「還付金収入をあてにして融資を受けていたので、このままでは返済が苦しくなる」と資金繰りに深刻な懸念が生じている状況だ。 国税当局は還付申告の審査について「必要に応じて確認書類の提出依頼や実地調査を行う」と説明したうえで、申告ミスや不正の調査のために時間がかかるときには「還付を保留する期間が長期にわたることがある」と納税者に理解を求めているが、「長期」がどの程度を指すのかは明示されていない・・・

(この先は紙面で…) 購読のお申込みはこちらから>>