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▼今週の注目記事  納税3826号1面より

認知症への備え
使いづらい成年後見制度

 認知症などの人に代わって財産の管理を行う成年後見制度を利用しやすくするため、法制審議会が制度の見直しに向けた議論をスタートした。同制度は、士業者らが後見人となり財産などを管理する仕組みだが、いったん利用を始めると原則やめられないことや、後見人の交代ができないことが課題となっている。

法制審が見直し議論スタート

 高齢化の進展に伴い、成年後見制度へのニーズは増している。だが、制度の使い勝手の悪さから見直しを求める声がかねてよりあがっていた。

 同制度には、本人の判断能力が不十分になった後、家裁が後見人を選任する「法定後見」と、本人に判断能力があるうちに後見人を選任する「任意後見」があるが、法定後見では本人の判断能力が回復しない限り制度の利用をやめられない。状況に応じた交代もできず、本人の自己決定権が制限されているとの指摘があった。

 これを受けて政府は2022年3月に成年後見制度の見直しの検討を求める基本計画を閣議決定。今年2月に関係省庁や専門家による研究会の見直しに関する報告書がまとまり、この報告書をたたき台に、法務省の法制審議会で本格的な議論がいよいよスタートした。

 初会合には社会福祉士や司法書士、認知症の当事者団体の代表ら約30人が参加。制度の利用期間を定めることや、必要性がなくなればやめられる仕組み、さらに利用者の状況に合わせて後見人を交代できる方法などについて検討していくことを確認した。小泉龍司法相は会合後、記者団に対して「幅広い論点が議論の対象になると思うが、スピード感を持って進めてもらうことを期待したい」と述べた。

 厚生労働省が9年ぶりに公表した認知症施策に関する推計によれば、22年時点の認知症高齢者は443万人に上る。65歳以上の8.1人に1人が発症している計算だ。推計では30年に高齢者の7人に1人、60年には5.6人に1人が認知症になるとしている。

 ひとたび認知症と診断されてしまうと、法律行為ができず、財産の運用や処分もできなくなる。銀行から生活費を引き出すことも困難となり、生活が不安になる恐れもある。これを解消するためにあるのが成年後見制度だ。

 成年後見制度の利用者は徐々に増えつつある。22年の申立件数は3万9719件で、制度利用者は24万人を超えた。制度が周知されてきたことに加え、それだけ後見を必要とする人、つまり認知症患者が増えているという事実を表す数字だ。

 ただ認知症患者の数から考えれば、制度の利用件数の増加ペースはかなり緩やかにも思える。その理由としては、やはり同制度の持つ独特の硬直性があるだろう。

 同制度では後見人が動かせる財産の裁量が細かく規制されている。原則的に本人の財産が減少する可能性のある投資や運用はできず、他者への生前贈与などもできない。あくまで「財産を維持しつつ本人のためになること」にしか財産を動かすことはできず、たとえ相続対策や会社の経営のために必要な取引であっても相当の困難を伴う・・・(この先は紙面で…)

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