オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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CFは、なんらかの目的を掲げて資金を募る人に対し、不特定多数の人々がインターネットを経由して資金提供する仕組みだ。
支援を募る法人や個人は、資金調達の目的や目標額を設定して専門のウェブサイトに公開する。その内容に共感した支援者は、ウェブサイトを介して資金を提供できる。大きく分けて、出資者に対して商品やサービスなどの見返り(リターン)を提供する「購入型」と、出資者に対してリターンを必要としない「寄付型」の2つが主流となっている。
国内のCF市場は2011年の東日本大震災をきっかけに認知度が上がり、現在では約2千億円の市場規模を誇る。最近では自社のブランディングや新商品のマーケティングなど新たな活用方法も見出されており、今後もCFは多くの企業に利用されていくとみられる。
ただ市場が拡大する中で懸念が高まっているのが、CFで調達した資金に課される税金の申告ミスだ。集めた資金は原則として収益に当たり課税対象となる。しかもCF特有の会計処理をしなければならないので「会計処理を間違えやすいポイントがいくつもあり、勘違いしたまま処理をしてしまう事業者も増えている」(都内の税理士)状況だ。
法人によるCFで最も多く利用されているのは、出資者に対して商品やサービスなどのリターンを提供する「購入型」だ。この購入型では、収益計上のタイミングを誤りやすい。資金の調達とリターンの提供は法律上の売買契約とみなされ、収益にあたる調達資金に法人税が課される。会計処理上のルールとしては、入金された時点で「前受金」として処理し、リターン提供のタイミングで本業に関係する収入なら「売上高」、関係ないなら「雑収入」に振り替える。調達資金を前受金として処理したあと売上高に振り替えるのを忘れたまま決算期をまたいでしまえば、本来リターンを提供した年に発生していた法人税を納めていないとして、税務調査で指摘されかねない。
これが課税売上高1000万円以下が要件とされている消費税の免税事業者や、同5000万円以下が条件の簡易課税事業者だと事態はさらに深刻だ。売上計上のタイミングが申告していたものよりも前倒しになって過去の売上高が制度の基準額を超えてしまえば、それまで免除されていた多額の消費税を納めなければならない。
また収益として申告する金額の計算でもミスが起こりやすい。調達した資金は、サイト運営者に10%から20%程度の手数料を差し引かれた残額が振り込まれる仕組み。ただ収益として申告する必要があるのは、手取り額ではなく売上や雑収入の総額となる。税務調査で手数料を加算していないことを指摘されれば、売上の過少申告として追徴課税の対象となる。
一方、リターンを提供しない「寄付型」であれば、会計処理は比較的シンプルだ。集めた資金は入金ベースで「受贈益」に計上すればよい。
CFを行う主体が個人名義でも、購入型と寄付型で会計処理が変わる。購入型で資金を募ったのであれば、調達者が個人事業主なら事業所得、そうでなければ雑所得として確定申告が必要だ。一方、寄付型の場合は、出資者が個人だと受け取った資金は贈与とみなされて贈与税が課され、法人なら調達資金は一時所得となり、所得税の対象となる・・・(この先は紙面で…)