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▼今週の注目記事  納税3683号1面

夏の相続大特集
ポストコロナの相続対策

 新型コロナウイルス感染症が拡大する前は、バブル崩壊以降で最長となる地価の上昇トレンドが続いていた。そこで不動産オーナーは評価額のさらなる高騰を見込んで納税資金の確保方法や遺産分割をプランニングしてきた。しかし長引くコロナ禍の影響を受けて地価が下落基調に一転した今、新型コロナが収束した後の相続対策を練り直す必要が生じている。不動産の価値が下がってしまえば、売却しても想定通りの納税資金が確保できなくなったり、遺産分割のバランスが崩れたりする可能性があるからだ。

地価が一転 下落トレンドに

 コロナ禍以前は商業・工業・住宅の全用途平均(全国)の公示地価が5年連続で上昇するなど土地の取引市場は活況だった。政府の超低金利政策を背景に各地で大型開発が予定され、三大都市圏を中心に地価は上がり続けていた。特に商業地は、外国人観光客が年々増加していたことでホテルや店舗向けの引き合いが強く、堅調な伸びを見せていた。

 しかし昨年から続くコロナ禍の影響により、地価は一転して下落傾向になった。今年7月には土地の相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の路線価が発表され、全国平均が6年ぶりに前年を下回った。

 都内の不動産鑑定士は地価の動向について「全国の商業地や観光地を中心に路線価の下落幅が大きくなった。さらに今後、テレワークの普及により企業などが郊外へ移転することで、オフィス街でも地価が下落することが想定できる」と分析する。

 コロナ禍以前に相続税評価額のさらなる高騰を見込んで納税資金を確保する方法や遺産分割をプランニングしてきた人は、コロナ以後を見越して相続対策の練り直しが求められている。相続対策は大別して@納税資金対策、A節税対策、B遺産分割対策――に分けられる。それでは、コロナ禍とポストコロナの対策について見ていく。

売れない土地が引き起こす納税資金不足

 名古屋市に住む地主の男性は、地価の下落を知って相続対策の見直しを急いでいる。

 「子どもたちに残せる遺産のほとんどは代々受け継いできた土地や賃貸アパート、駐車場といった不動産。顧問税理士に相続対策を相談したところ、私の預金だけでは相続税が足りなくなるかもしれないと言われた。コロナ以前は、すぐに買い手がつきそうな商業地の土地をもっているから、私が死んだ後、子どもたちにはそれを売って納税資金の足しにしてもらおうと思っていたのだが、完全に計画が狂わされた」

 相続対策に当たって、多くの人々が頭を悩ませるのが、納税資金の確保だ。相続人である子どもたちが相続税を支払えるように段取りをしておかなければならないからだ。子どもたちが多くの資産を引き継ごうと思っても、相続できる預貯金が不十分で納税資金をねん出するのに苦慮してしまう事例は枚挙に暇がない・・・

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