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▼今週の注目記事  納税3851号1面より

会計検査院が問題視
自社株評価ルール 見直し間近

 相続や贈与によって自社株を引き継ぐ場合、その評価にあたっては会社の規模に応じて3種類の方式を使い分けるルールがある。このうち「類似業種比準方式」について、会計検査院がこのほど、他の方式に比べて著しく有利で「公平性が確保されていない」と指摘した。検査院が問題視した制度はその後、規制強化に至るケースが多く、見直されることになればオーナー企業の相続への影響は避けられない。

類似業種比準方式が有利すぎる?

 税の無駄遣いを検証して是正を要求する会計検査院はこのほど、2023年度の決算検査報告を石破茂首相に提出した。国の345事業で合計約648億円の不適切な支出があったと指摘し、改善を求めた。

 報告書では、無駄遣いが確認された「不当事項」のほかにも、報告書に特筆すべき必要があると検査院が認めた「特定検査対象」についてのページがある。そのなかで、16ページを割いて記載されているのが、「相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価について」と題された、非上場株式の相続評価ルールに対する指摘だ。

 自社株の引き継ぎが行われると、その価値に応じて相続税や贈与税が課される。上場株式であれば、市場で日々取引されているため時価で評価すればよいが、取引相場のない非上場株式の場合はそうはいかない。そのため、非上場株式には独自の評価ルールが設けられている。それが「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「併用方式」と呼ばれるもので、会社の従業員数、業種、総資産価額、取引金額などによって大会社・中会社・小会社に区分され、それぞれに応じた方式が採用されることとなる(表1)。

 各方式では、どのように株価を評価するのか。

 まず1つ目の「類似業種比準方式」は、事業内容が同じだったり類似していたりする複数の上場企業の株価をベースに、配当金額や利益金額、純資産価額の比較で評価する手法を指す。

 2つ目の「純資産価額方式」は、会社の資産・負債を相続税評価額に置き換えたうえで、その資産の価額から負債と評価差額に対応する法人税相当額を控除して最終的な評価額を求める手法だ。

 最後の「併用方式」は、2つの方式をミックスしたものだといえる(表2)。

 今回、検査院が指摘したのは、類似業種比準方式についてだ・・・(この先は紙面で…)

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