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▼今週の注目記事  納税3677号1面

紳士服のはるやまでお家騒動
家族のケンカが会社をつぶす

 紳士服大手の「はるやまホールディングス(HD)」で、創業者一族の内紛劇が発生している。同HDの取締役会長を務める治山正史氏の退場を求め、正史氏の実姉に当たる岩渕典子氏が、株主総会での解任決議への賛成を求める手紙を一般株主らに送付していることが明らかになった。近年の大塚家具の例を引くまでもなく、一族経営の企業における家族内の対立は、会社にとって致命的なダメージになってしまう。最悪の場合、オーナー一族が握る自社株を手放さざるを得ない可能性も否定できない。

一般株主を巻き込み対立激化

 「こんなに生々しい文章は初めて」。はるやまHDの株を保有しているというツイッターのある一般ユーザーは、同社から送られてきたという手紙の内容を公開し、そう漏らした。同様の手紙は、同社の一般株主に対して広く送られた。

 「弟は、自分の思う通りにいかないと社員にあたり、新規事業を始めても気に入らないと放り出し、自分に意見する社員は、左遷・退職に追い込む事を繰り返しております」

 「弟のせいで、これ以上、社員から犠牲者が出るのは耐えられません」

 正史氏を激しく非難しているのは、手紙の差出人であり正史氏の姉である、岩渕(旧姓:治山)典子氏だ。ただし差出人こそ典子氏単独だが、正史氏を経営から排除したいというのは創業一族の総意であるようだ。昨年度の株主総会では、典子氏に加えて創業者である父親の正次氏、叔父などが協力して正史氏の選任決議に反対したものの、「反対票が1%足りず、51%で可決されました」と手紙には書かれている。

 コロナ禍でのリモートワークの普及などにより紳士服の売り上げは落ち、同社の2021年3月期の売上高は前期比で23%減と、深刻な状態にある。それを踏まえ典子氏は、「社員が一丸となれば必ず乗り越えられます」としながらも、「社員が弟を気にせず、はるやまの再建の為に全力で取り組めるように(中略)弟を退任させねばなりません」、「弟を入れない取締役体制の構築が、会社再建の第一歩です」として、今年度の株主総会での選任決議への反対を訴えた。

 当事者である典子氏の言い分がどこまで真実なのかは分からないが、同社が家族間の内紛によって揺れ動いているのは事実だ。同社では、今年5月に競合他社であるAOKIの元社長、中村宏明氏を新社長に招へいし、創業2代目社長だった正史氏は取締役会長に退いている。典子氏によれば、この動き自体が「代表権を返上し取締役会長に降格することで(解任への動きを)終わらせようとしている」とのことだが、内紛の結末がどうあれ、外部の中村氏が経営のトップに立ったことは、同社の今後のあり方にも大きな影響を及ぼすことになるのは確実だ・・・

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