オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。専門記者による国税関連機関、税理士等への密着取材で培われた報道内容は、一般紙や経済・ビジネス雑誌では決して読むことはできません。

▼今週の注目記事  納税3832号1面より

税金が払えない!
窮地を救う納税猶予手段

 税金や社会保険料の滞納で資産を差し押さえられ、経営に行き詰まって倒産する企業が急増している。コロナ禍の資金繰り支援として認められていた納税猶予の終了に加えて、無利子・無担保のゼロゼロ融資の返済が本格化したことが事業者の負担となっている。そもそも税滞納といった状況に追い込まれないようにするのが重要だが、万が一の場合には、生活崩壊を防ぐ猶予制度を利用したい。

税の滞納倒産 急増中

 国税庁が発表した2022事務年度末時点での国税の滞納残高は8949億円だった。22年ぶりの増加に転じた20年度からの流れを継続し、3年連続の増加となった。

 これまでの国税の滞納発生額の推移を見ると、ピークだった1992年から増減を挟みながら減少を続けてきた中で、発生額がぐっと増えた3つの山がある。一度目は98年、二度目が2015年、三度目の山が21年で、いずれも消費税増税後のタイミングに当たる。

 消費税については、取引先から受け取った消費税分を納税資金として分けておけば納税時に困ることはない。だが実際には日々の資金繰りの中で消費され、いざ納付という段階になって手元資金が足りなくなるのは、よくある話だ。経営が苦しければ苦しいほど受け取った消費税分を資金繰りに回し、赤字決算でも納付を求められ、滞納せざるを得ない状況に追い込まれるという負のサイクルが生じやすい。

 さらに近年ではコロナ禍で講じられた納税猶予が終了し、無利子・無担保のゼロゼロ融資の返済も始まり、過去にない資金繰り危機が中小企業を襲っている。東京商工リサーチがまとめた「全国企業倒産件数(負債1千万円以上)」のうち「滞納倒産」は23年度に82件で、前年度の24件から3倍以上に急増した。ここでいう「滞納倒産」とは、税金・社会保険料の滞納状態が続き、資産を差し押さえられて経営に行き詰まったケースを指す。14年度以降では2番目の多さで、コロナ禍以降では最多を記録した。

 もし税金を滞納してしまうと、個々の事情にもよるが、督促状の発送から10日を経過した時点で、法律上は当局による財産の差し押さえが認められる。滞納から差し押さえまでの猶予は予想以上に短い。万が一の自体に備えて、税金滞納者に対する4種類の納税猶予制度を把握しておきたい。法定制度である「納税の猶予」「換価の猶予」「滞納処分の停止」と、それ以外の「事実上の猶予」だ。

 「納税の猶予」は国税通則法46条に基づき、震災や火災などの災害により納税者が相当な被害を受けた場合や、病気、事業の廃止、盗難、著しい損失などがあった場合に、本人の申請に基づいて税務署長の判断で納税が猶予される制度だ。滞納処分の着手前から申請でき、滞納額の分納が認められる。延滞税も減免され、差し押さえの解除も申請できる。滞納者でなく未納者として扱われるため、自治体の入札に参加する際などに必要となる納税証明書の発行も可能だ。

 「換価の猶予」は、差し押さえられた財産の換価(公売・競売)を最大2年間猶予し、延滞税の2分の1が免除されるもの。国税徴収法151条に規定されている。新たな差し押さえや換価などの処分を受けず、すでに差し押さえられている場合でも解除される可能性もある。かつては担当官の温情にすがって初めて利用できた仕組みだったが、現在は滞納者の権利として申請できる制度に改められている・・・(この先は紙面で…)

購読のお申込みはこちらから>>