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▼今週の注目記事  納税3640号1面

菅内閣発  
注目される消費再増税への動き

 菅義偉内閣が9月16日に発足した。税財政についての具体的な方向性はまだ見えない部分が多いものの、今回の自民党総裁選で消費税率の再引き上げを示唆する発言が飛び出した点は見逃せないだろう。コロナ禍にあって、国民の誰もが安心して生活し、企業は事業活動を続けていけるための国の施策が求められているなかで、「自助」を掲げる新政権が税制にどのように向き合うのか、注目される。

捲土重来期す財務省の執念

 「将来的なことを考えたら行政改革を徹底した上で、国民にお願いして消費税は引き上げざるを得ない」

 菅義偉新首相は自民党総裁選期間中の9月10日、民放番組でこう発言。隔年だった薬価改定の年1回への制度変更を主導するなど、これまで社会保障費の抑制に積極的に取り組んできた菅氏だけに、財政健全化を至上命題とする財務省内は「消費増税に道を開く重要な宣言だ」と希望的観測に沸いた。

 ところが、翌11日の記者会見で菅氏は一転して「安倍首相は今後10年ぐらい上げる必要がないと発言した。私も同じ考えだ」と釈明し、すぐに引き上げる考えからの発言ではなかったと軌道修正。将来のことまで否定するのは無責任すぎると考えた上での発言だったと、自らの発言の火消しに追われた。

 コロナ禍で苦境にあえぐ国民や企業が多い中、「増税内閣」とのレッテルを張られては新政権発足後の支持率に大きく影響してしまう。そんな政治的打算からの修正を急いだ形だが、仮に今回の「火消し」の言葉を守り続けるのであれば、消費増税は実質10年の封印が確定したことになる。

 もちろん、ここで慌てたのは財務省だ。たとえ「10年間」の期限付きとはいえ、将来の財政再建に向けた有力なカードとなりえた消費税増税を事実上、打ち出せなくなった。省内には「安倍さんに続いて菅さんまで『10年上げない』などと甘いことを言われては困る。考え直してもらう必要がある」(幹部)と、菅氏に増税路線への翻意を促すよう働きかけるべきだとの強硬論まで浮上している。 第2次安倍政権下では、首相からアベノミクスの根幹を成す積極的な財政出動に後ろ向きな「抵抗勢力」とみなされ、冷や飯を食わされた形の財務省だけに、菅政権下で捲土重来を期す執念は並大抵ではない。

 そして消費増税を突き付けてくるのは財務省だけではない。財界からも財政健全化を望む声はさっそく上がってきており、新政権は消費増税を促されている。財政再建より経済優先を掲げた安倍政権では消費増税は2度の延期を経たものの、最終的には財界に押し切られる形で10%への増税を強行した。菅首相の「10年上げない」との発言はどこまで信念を持った発言なのかは分からないが、大企業優遇が目立った安倍政権の経済政策を継承するというからには、財界の要望を断り続けることは困難だろう・・・

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