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▼今週の注目記事  納税3645号1面

極大権限≠ナ押し寄せる
DX(デジタルトランスフォーメーション)税制の波

 社会基盤のデジタル化、いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推し進める菅首相の号令のもと、税制にもDXの波が押し寄せている。来年度改正に向けた議論では、DXへの取り組みを進める企業への税優遇がメインテーマとなりそうだ。来年創設されるデジタル庁はかつてない権限を持って一気に社会のデジタル化を進めるとみられ、民間企業も他人事ではいられない。DXは自社にどのような影響を及ぼすのか。どのように対応していくべきかを探った。

税制改正のメインテーマに

 最近になって「DX」という言葉をよく耳にするようになった。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、情報技術の発展による社会の変革や、それに対応するための企業の取り組みを指す。言葉の発祥は、2004年にスウェーデンの大学教授が提唱した「ITの浸透が人々の生活をよりよい方向に進化させる」という概念だ。それが日本で広まったのは、経済産業省が「DX推進ガイドライン」を18年に公表したことがきっかけとなる。

 このガイドラインでは、今後の日本企業が目指す姿として、データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、同時に業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土までを変化させることを訴えた。実現すれば国際競争上の優位性を確立して年間130兆円のGDPの押し上げが期待できるとした一方で、逆にDXに乗り出さなければ数年以内に既存システムの老朽化や旧システムに熟知した人材の引退、市場の変化への乗り遅れなどが一斉に訪れると警鐘を鳴らした。

 「デジタル」登場回数3年で倍に急増

 これまでもインターネットの発展などに伴い、社会基盤や経済システムのデジタル化は何度となく取り上げられてきた手垢のついたテーマだ。かつては情報ネットワークが社会の根幹をなすとした「ユビキタス」という言葉が流行したこともあるし、今でも使われている単語としては「ICT(情報通信技術)社会」というものもある。

 しかし近年になって、社会基盤と経済のデジタル化の必要性は、その緊急度≠増しつつある。前述した経産省のガイドラインでは、2025年を一つのデッドラインとして、DXへの取り組みが間に合わなければ年間12兆円の社会的損失が生まれるとしている。ガイドラインではこれを「2025年の崖」と名付け、対応できない企業などは文字通り崖から落ちるように競争力を失い脱落していくと警告した。

 差し迫る崖≠ノ警戒感を強めるかのように、デジタル化に対する国の姿勢も変わりつつある。政府が年に一度策定する経済財政の運営指針、いわゆる「骨太の方針」では、16年版では「デジタル」という言葉は一度も出てこなかった。それが17年に3回登場したのを皮切りに、18年が9回、19年には53回と増え、そして今年の20年版では105回と急増した。デジタル化に対する政府の問題意識が透けて見えるようだ・・・

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